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学術創成研究(新プログラム) 分子研リポート2001 | 分子科学研究所

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Academic year: 2018

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分子科学研究所の概要 43

学術創成研究費

「新しい研究ネットワークによる電子相関系の研究

―物理と化学の真の融合を目指して―」がスタート

分子科学の本質的かつ重要な役割は,分子の立場で物質科学の新しい道を開いていくことと言えるであろう。分子 の研究は,しかしながら物理の分野でも重要なテーマであり,金属や無機半導体のようないわば無限個の原子からな る系とは本質的な違いを示すエキゾチックな世界を提供してくれる。20世紀後半のエレクトロニクス産業を支えた半 導体は,電子の遍歴性に基づいた物性を基盤としているが,分子の持つ電子の局在性とこの遍歴性の中間的な性質を 持つ物質群は「多様な電子相関系物質」として近年物理の分野で大きなトピックとなっている。電子間の相互作用が 強くなると,電子の運動はお互いに強く相関するようになる。これを強電子相関系と呼んでいる。この強相関は,外 部パラメーターのわずかな変化によって様々な相を生じ,これが多機能性の起源となっている。このため,「強電子相 関」の概念は次世代の材料開発に不可欠と言われている。これは,ナノ構造体のように電子相関を恣意的に強めた系 で本質的な役割を示す。物理学と化学は,「実空間であれ運動量空間であれ,各々の旧来のやり方では表現できない電 子系」を未開拓領域として持っており,それぞれ協力・融合して,次世代の物質科学の基礎を支える新概念を構築す る必要性が強く認識されるようになった。このような背景から,我が国の物性科学に関連する五つの研究所,即ち分 子科学研究所の他に北から,東北大学金属材料研究所,高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所,東京大学 物性研究所,京都大学化学研究所が一体となって上記の学術創成研究をスタートさせた。

まず,共同研究体制を有形の形で実現するために,5カ所の研究室間ネットワーク“ コラボラトリー” の構築が重 点課題の一つとして取り上げられた。新しい研究協力システムである“ コラボラトリー” とは,各研究室の持つ資源

(ブレイン,ハードウエア,ソフトウエア)を研究ネットワーク上の研究室の間で共有化することにより,各研究室が あたかも隣にあるかのような研究環境を提供するものである。具体的には,1. 特殊大型装置の遠隔操作による共有化, 2 . 高速ネットワークによる分散並列処理システムの構築,3 . 多対多のヒューマンインターフェースの構築を実現し ようとしている。

本学術創成研究では,研究リーダーを分子研所長の茅幸二とし,5つの研究所からのメンバーを再編成し,以下の 五つの研究班からなっている。1 . 強相関物質班:新規な物性を持つ多機能強相関電子系の創成, 2 . 複合ナノ構造 物質班:ナノサイズ分子系および界面ナノ構造物質の創製,構造解析および機能制御,3 . 構造・物性解析ネットワー ク班:特殊大型装置の遠隔操作による研究室の枠を越えた物性評価システムの構築,4 . 計算機ネットワーク構築班: 各研究所のスーパーコンピューターの並列使用による巨大分散並列計算機の構築とそれによる強電子相関物質の機能 設計,5 . ヒューマンインターフェース(HI)構築班:多対多の研究者間のネットワークによる緊密な協力体制の構築, である。今年度は,物質構造科学研究所に放射光X線回折計が,磁化特性測定システムが金属材料研究所に,ヒュー マンインターフェース会議システムが物質構造科学研究所をキーステーションとして各研究所に導入される。スーパー コンピューターの並列使用の効率化のためにスーパーサイネットが岡崎国立共同研究機構にも平成14年度に敷設され ることになった。

今年度は,第1班は,3班の希望者を交えて,11月29日から12月1日に下田セントラルホテルで,第2班は,化学 研究所で7月10日に,第3班は10月29日に金属材料研究所で,第4班は東京大学理学部1号館で11月12日に,第5班 は高エネルギー加速器研究機構で12月7日に班会議を持ち,それぞれ,研究の進捗状況の報告と今後の取り組みの議 論を行った。また,中性子グループは,分子研と化研で,共同研究の為のキャンペーンを行った。2月12,13日には,

2-10 学術創成研究(新プログラム)

(2)

44 分子科学研究所の概要

若手グループの集いが開かれ,3月1日から3日の予定で全体会議を仙台で行う。

会議を重ねて行って,様々な共同研究の可能性が生まれたり,実験家と理論家との交流などを通して問題解決の道 が開けたり,このプログラムの有効性が大いに認識されて来たと言えるのではないだろうか。更なる成果を目指して 積極的な取り組みを推進したい。  

参照

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